モエ・エ・シャンドン
この別段イケメンでもない既婚者に、なぜ、 惹 ( ひ ) かれてしまうのか。
「誕生日、一緒にいられなくて、ごめんね」
男が、本当に申し訳なさそうに言うので、答えに困ってしまった。「いいの、気にしないで」と笑うのも「ヤダ!ヤダ!ヤダ!」と駄々を 捏 ( こ ) ねるのも、両方とも不正解な気がした。
何も言えずに、ホテルのロゴのついた灰皿を見つめるしかできない私の頭を、何も言わずに 撫 ( な ) でてくれる。
そんな男が目の前にいて、ただ、今、この時間を楽しめばいいじゃないか、そう思おうとしたが、先に、気持ちが 溢 ( あふ ) れて、ぎゅっと抱きつきたかった。
高ぶる私の気持ちを制止するように、男は立ち上がり、冷蔵庫から、ピンクの箱のシャンパンを取り出し、何本かのロウソクに火を着け、部屋の電気を消す。
その一連の作業は照れがなく自然だ。こういう演出を何回も繰り返しているのだろう。
男は笑顔で私の右側に戻り、慣れた手つきで栓を抜いた。
グラスに注がれたピンク色の立ち上る泡は、ロウソクに照らされ、キラキラ光る。
「ちょっと早いけど、誕生日おめでとう」
男が言って、私達はグラスを鳴らし、ピンク色を飲み干した。
「俺と会わない間に、悪さをしていなかった調べるから、さあ、脱ぎなさい。」
「その前に、シャワーを浴びさせて」
「ダメだ。許可できない。脱ぎなさい。」
「でも…」
既に、私の下着には大きな染みができているはずだ。
タイツとスカートを自分で脱ぐ私を、男が見下ろしている。
私の液体で濡れている、この日の為に用意した、透けている赤い下着に危うく包まれる下半身を、男に差し出す。
「何だ、これは?」
白い太股の間に男が座り、取り調べが始まる。
「触られてもいないのに、こんなに汚してしまって…何を考えているんだ。いやらしい想像ばかりしているから、こんなになるんじゃないか?違うか?」
強い口調で言われ、オマ○コが熱を帯びていく。
「プンプン匂いがするぞ。オシッコの匂いじゃないか?臭いよ。あぁ、臭い。」
体の中心から込み上げてくるのは、恥だ。
「シャワーを…」
「ダメだ。ほら、これも脱ぐんだ。」
赤いパンツのクロッチ、オマ○コに当たる部分を、男は真剣な眼差しで観察しながら 頷 ( うなず ) く。
それから、その、汚れて重さが増した赤い布切れを私の顔に近付けた。
「見てみなさい。目を反らすんじゃない!よく見るんだ、どうなっている?」
「…汚れています」
「どんな風に汚れているのか説明しなさい」
「ネバネバが付いていて、たくさん付いていて、布の色が変わっています。」
言いながら、私の目が濡れて行くのを男は知っているのだ。
「所々、乾燥して白くなっている箇所も見受けられ、ずいぶん前から、布に当たる部分から液体を出していた可能性があります。…匂いは、女の匂いと、オシッコの匂いが混ざり、臭いです。」
目が熱くなって、涙が出そうだ。心臓の音が耳の中でしている。
「そうだ。こんな物を俺に見せて、お前はどうしようもないな。次は、こっちを検証しよう。足を閉じてはいけない。開きなさい。」
男の指示通り足を開きながら、私は、小刻みに震える。
「なんてことだ!ソファまで垂れ流しているぞ。後で掃除をするホテルの人が見たら…悪いと思わないのか?」
「…ごめんなさい」
「謝りながら、濡れてくるのか、このオマ○コは。ヒクヒクさせて、いやらしい、いやらしいオマ○コを付けていて、恥ずかしい女だ、まったく、この小陰唇、ビラビラが厚くなっているじゃないか!どういうことだ!他所の男のチ○ポをくわえ込んだ証拠だ。しかも、何回も、何回も、舐められて、吸われて、チ○ポを出し入れしたな!」
私は、欲情した、雌だ。
「してません。してません。してません。」
嘘。
「悪い子だ。お尻を出しなさい。」
ロウソクの灯りの部屋に、スパンキングの音が響き、お尻が熱くなって、快感の声が 洩 ( も ) れる。
本当は、他所の男としました。付き合っている男は他に2人います。その男達に、喜んで 陵辱 ( りょうじょく ) されています。許して下さい。寂しくて、寂しくて、死にそうなんだもん。罰して下さい。アナタによって罰せられることが救いなのです。他の誰でもなく、アナタの罰が欲しいのです。
私は、まだ、どこも触られていないのに、悦楽の涙を 溢 ( こぼ ) した。