bookアイコン

作者:七瀬

プロフィール

・1977年7月生まれ
・職業:某デリヘル店に勤務

Archive

Archive for 5月, 2011

パーティー(7)

5月 27th, 2011

その時、廊下側のドアがバタンと閉まる音がして俺はだるくて視線を向けただけだったが、振り返った女が
「やばいんじゃないのぉ」
と言って、笑顔で俺と目を合わせた。
「やばいって?」
まだ快感の余韻から抜け出せていなくて、現状が把握できていない。「やばい」と「笑顔」の」共通点がわからない。女は新しいストッキングをカバンから出して、帰り支度を始めている。俺は、この女の長い足が好きで、好きで、好きで、特に脹脛ふくらはぎ)からハイヒールに流れる曲線が美しい。
「やばいって?」
もう一度女に聞くと、無表情で窓を指差した。外を見ると、嫁の走っていく後ろ姿か見えた。慰謝料だの離婚だの頭に浮かんだが、現実にここで起きているはずのアクシデントなのに現実感は薄い。経験上、こんな失敗はしたことはない。本当に俺に起こっていることなのだろうか。あれは、本当に嫁なのか。
「何してるの?追いかけなよ!」
いつになく厳しい声で女に言われ、現実に戻された。
嫁を連れて家に帰ると、予想はしていたが女は消えていてほっとした。嫁はキッチンで夕食の支度をしていて、俺を責めるような言葉は何一つ言わず、魚の焼ける匂いのせいで全部夢だったみたいに感じるが、テーブルの下に落ちているティッシュが、現実を知れ、と俺を責める。

私は、ずっと気づいていて、もしかしたら男も知っているのではないかと思っていた。盗み見するのにはあまりにも気配を隠しきれていなくて、ドアの隙間からの視線が痛いぐらいだった。家庭の主婦なんて自立もできていないくせに権利だけは主張して大嫌いだから、ざまぁみろって思ったの。私のセックスを見てみなさいって。あなたの知らない世界を見てみなさいって。私が男の上に乗っているとき、嫁は私を見ていた。私と目が会って、その目は濡れていた。わかったの。私。間違いない。
この前と同じ、何の変哲もない住宅街、また迷ちゃったじゃない。もう水仙は咲いていない庭。今日は男の車ではなく嫁の車だけ。駐車の仕方もお行儀がいいってわけね。
男とはあれから、何回かセックスしたが、微妙に距離が離れてしまい、興奮仕切れていない。興奮するための私の提案が男に浮けうれられ、今日、ここで、パーティをする予定になっている。嫁は知らない、秘密の計画。
チャイムを鳴らすと
「はい」
とすぐに返事されたけど、鍵が開くまでには暫く時間がかかった。
ドアが開き、
「何か…」
と嫁が不審そうに言って、だから私は思いっきり作り笑顔をした。
「先日は失態をお見せしてしてしまい、申し訳ございませんでした。あなた…お見受けしたところ、ノーマルではないのね。」
嫁の顔は恥にまみれている。私のしっかりとした口調で、更に嫁は恥に苛まれるだろう。
「おじゃまして、いいでしょ?」
「…はい、どうぞ」

あの日と同じ、午後の光。下手な人形が飾ってある玄関。椅子を勧められて、カウチに座る。リビングは男の匂いがする。
「隣へ座って欲しいの」
お願いすると、うつむきながら20センチ隣へ座った。足と手をそろえて。嫁が隣に座ることを拒否しなかったのが意外だった。

髪をなでても、嫌がらない。恥ずかしそうにうつむいている。やっぱり、レズなんだ。
「辛かったでしょ?」
嫁は小さく首を振る。
「誰にもわかって貰えなかったんでしょ?」
髪をなで続ける。かわいい子。
「あなたは、主人の浮気相手です、だから、こんな…」
なでていた手で顔を引き寄せて、軽くキスをする。
「私のこと、嫌いじゃないでしょう?あなたの理解者だわ。知らないふりをするのはよしましょうね?」
嫁の目が濡れきて、頬が赤くなって、そろえられていた足が少しだけ開いていた。

嫁のスカートと下着を脱がし、足を開き自分で押さえるように言って、私はぬらつくオ○ンコをそっと舌でなぞった。

次回作は6月10日(金)掲載予定!

七瀬 小説