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作者:七瀬

プロフィール

・1977年7月生まれ
・職業:某デリヘル店に勤務

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『たなびけば、』 (5)

7月 12th, 2012

駅前の道路は長い下り坂になっていて、道路の両側にある桜が満開だった。
ビジネスマン達が携帯を片手に歩き、向こう側ではスーツ姿の団体が互いにお辞儀をしていた。奥様達がデパートの袋を持って歩き、交差点では歩行者用の信号が点滅している。おじいさんがベンチに座って桜を見上げ、バス停で停まったバスから何人もの人が降り、無表情のまま人ごみに紛れる。日差しは柔らかく車内を暖めている。シートヒーターを切ってもらった。ソニークラークが低くかけてある。

待ち合わせの場所に男の子はすでに来ていて、彼の黒い大きなドイツの車をその子の前に停めた。私は後部座席に乗っていて、窓を少し開けて、おつかれさま、と言った。外の冷たい風に桜の花びらが舞った。

男の子はすぐにドアを開けようとしたが、ドアをロックしておいたので開かなかった。
私は自分の薄緑色のスプリングコートのボタンを、少しづつ外していく。コートの下は赤い縄だけ。彼に縛ってもらったから、もう少し窓を開けて、男の子によく見えるようにしてあげた。そうしている私を彼に見て貰いたかった。
男の子はビックリした顔で、周りを見渡し、それから、私のきつく締め上げてある股間やオッパイを見て、また周りを見た。

「乗ったら?」

ロックを外すと、すばやく男の子は乗り込んで、私を見て、彼を見た。
そして、彼は車をするすると発進させた。
男の子は黙っていて、状況が理解できてないみたいだったけど、状況の理解なんて、もともと必要じゃないのかもしれない。
男の子の手を取って、縛られゆがんでいるオッパイに、一瞬だけ触らせた。私と彼は男の子を無視して普通の会話をしていた。

今日は天気がいいね。こんな日には、お花見したいね。先週おいしい中華料理店を見つけたよ。お腹すいてきたかも。ニュースで変な事件のことやってたね。
男の子は静かだ。私の縛られている体を見ている。もっとよく見えるように、男の子の顔をオッパイの前に引き寄せた。舌を出して舐めてこようとしたから、舌をぎゅっとつまむと、あああああ、と痛がった。

彼は、今晩は見ていなかったDVDを見ようと思うんだ、お前は見たことあるかな、カサブランカっていう古い映画なんだ、なんて話をしながら、バックミラーでその様子を見ていて、笑顔だったから、私は嬉しくなった。知ってるよ、あの、なんていう名前か忘れたけど、黒人が歌うAs Time Gose Byは、いいよね。

ホテルの部屋まで、男の子は黙ってついて来た。部屋に入ると、私達はいつものように抱き合って、キスをして、彼に変なポーズを命令されたりして、その間男の子はドアの前から動かず、ただ、私達を見ていた。どうしよう、どうしよう、どうしよう。そんな声が聞こえて来そうなほど、男の子は小さくなり、ジーパンはきつそうだった。
ジーパンにTシャツにパーカーという普通の格好はこの場に合ってなかった。会社で見るみたいにスーツだったら、少しはましだったかもしれない。スーツでも同じかもしれない。
どっちにしろ、男の子は、私達がワクワクするための道具としてここにいるのだ。状況が飲み込めず、怒っていいのか、笑っていいのか、帰っていいのか、参加していいのか、わからないのだ。

「オナニーの続きしてもいいよ」

と声をかけると、ジーパンを下ろし、トランクスからはちきれそうなチ●ポをだして、夢中でしごき始めた。
次にするべき行動の指示を与えられ、男の子は安心したはずだ。私は彼の命令で、テーブルに固定されたディルドに腰を下ろし、彼は服も脱がず、ソファに座って、それを見ていた。テーブルは狭く、ディルドを中心に座っているのは、バランスを保つのが大変で、私はすぐに汗をかき始めた。

「カエルが飛び跳ねるみたいに動くんじゃない。お前に比べたら、車のタコメーターの方がいやらしい動きができてるぞ。チ●ポが欲しくて欲しくてたまりませんってな風に動くんだよ…足を開いて、俺によく見えるようにしろ」

私の前に彼が座っていて、その向こうのドアの前男の子はオナニーしている。
私達を見て。欲しくて、欲しくて、どうしようもない私のクチュクチュと音を立てるオ●ンコを見ている。見られて、感じている。男の子に見られて感じている私を彼が見てくれていて、感じる。

「そうだ、やればできるじゃないか。」

男の子の手の動きが早くなったかと思うと、うぅ、と言ってチ●ポを握る手から、精子を床にボトボトと落とした。

つづく…

※次回 ”たなびけば,” 第6話は、7/26(木)更新予定!


七瀬 小説

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