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作者:七瀬

プロフィール

・1977年7月生まれ
・職業:某デリヘル店に勤務

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Archive for 12月, 2011

『ルームナンバー1044』 (9)

12月 8th, 2011

しょうがないんだ。こうやって体で繋がることしかできないんだ。
「…はい」
と、パンツをグチョグチョにしながら小さな声で頷く彼女に対して、俺がしてやれることは、何もない。俺は、卑怯だ。
「いやらしいことばかり考えて、お前はここを濡らしながら俺のベルトを外そうとして、まったく、お前は、ダメなやつだ」
薄紫色のブラジャーをずり上げて、緑色に血管が浮いて見える彼女の胸を鷲づかみにして力を入れる。小さい乳首が俺の方を向いていて、舐め回したくなった。
スカートはまくりあがり胸をはだけ痛いほど掴まれたまま頬を赤らめながら困った顔で頷く彼女を見ていたら、俺は何て言うか、無力なんだと思った。いやらしいことばかり考えているダメなやつは俺だ。彼女は快感に導かれたがっている、と思う俺の心が快感に導かれたがっているのだ。
「…後ろを向きなさい」
彼女は静かに壁に手をついて、腰を突き出す。向こうの窓、雲ひとつない青空しか見えない。パンツを下ろすと、白い尻、足の間からヌルヌルが溢れていて糸を引く。それを指でとって、彼女に見せる。玄関に女の匂いが充満している。狭い廊下に掛けられた鏡は対面する白い壁だけを映している。彼女の尻を平手で叩く。パンッと言う音と同時に彼女の体がビクッと跳ね、はぁぁ、と長く甘いため息をつく。自分でベルトを外して、チ○ポの先から出る透明な液体を、叩いたばかりの彼女の尻に押し付け塗る。
「…センセイ、入れてください…」
俺のモノはこれ以上にないぐらいになっていて、一刻も早く彼女に突っ込んで果てたかったが、それを見透かされるのは屈辱的だ。
「お願いする時は何て言うのか教えただろ?」
「…入れて下さい、お願いします」
太股までグチュグチュに濡らした尻を振りながらお願いされて我慢できる男はいないだろう。
「しょうがない、入れてやるからな」
「センセイ、ありがとう…」
彼女の腰を両手で押さえ、ゆっくりとチ○ポを沈め、半分ほど埋める。彼女の腰は震え始めていて、その中は暖かくピクピクと俺を締めて、奥へ奥へと誘う。どうしたってこの快感に敵うはずはないんだ、と思う。そして、一気に奥まで入れると
「あっ」
と彼女は悲鳴のような声を出した。ジュプジュプと強欲に俺を包む。汗が噴出し、白い尻に落ちる。狭い玄関に俺の息使いと彼女の押し殺した声。
「…センセイ、奥が…」
「奥が何だ、言いなさい。」
深く深く入れて、グラインドする。膣全体がキュウゥっと締め付けている。
「…奥が、…奥が…センセイ…」
痛いほどに締め付けられ、俺が、もう、我慢できそうにない。

俺は窓の外を見ていた。窓辺に立つと、隣のマンションや遠くのデパートが見えた。10階の44号室。彼女がいつも見ている景色だ。ここから、空を見て、風をみて、夕日を見て、そして、何を考えているのだろう。俺のことかな。俺が家族と笑って夕食を食べている時、彼女はここから、星を見るのか。しょうがないんだ。しょうがない。しょうがない。我慢してくれ。
「ねえ、センセイ、センセイの1番大切なものって…」
振り向くと、乱れた服を直し終わった彼女が、俺を見ていた。決意が顔に出ていた。彼女の向こうに、薄暗い玄関が見える。彼女は腕を組んで、斜め下に視線をそらし、そして、まっすぐに俺を見た。
「お前だよ、お前が大切だ。」
曖昧だったものが突然に形になった。
「違う。センセイの1番大切なものは社会的信用でしょ。」

おわり

七瀬 小説