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作者:七瀬

プロフィール

・1977年7月生まれ
・職業:某デリヘル店に勤務

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『たなびけば、』 (6)

7月 26th, 2012

男の子は床に精子をボトボトと落とした。

そして、男の子の表情がかすかに動き、それは恥にまみれていた。恥は見えない波のように私達の元へ流れ、やがて、部屋全体を飲むだろう。
落とし気味のライトに、彼の時計が光って、そこだけが、何にも汚されていないように見える。
汚れた、という言葉を思い出したこによって現実に戻されそうになる。汗で頬や背中に張り付く髪の毛の不快な感覚が、現実に戻る意識をかろうじて阻止する。

「そいつの前に膝をつけ」

私の動きが下手で、彼はイライラし始めた。小さなテーブルから降りる時、彼が支えてくれた。ドアの前の男の子に期待が見える。次に起こる何かに身構えている。フラフラと歩き、両手をついて、膝をついた。男の子のチ●ポが目の前3センチにあり、しごかれていて、成熟しきらない男の臭いがした。彼は私の後ろに立って、カチャカチャとベルトを外し

「しゃぶれ」

と言った。男の子にオマ●コを見せるような格好になり、彼のチ●ポを夢中でしゃぶった。彼は、変な声を上げることもなく、笑顔も見せず、普段どおり落ち着いていて、ドキドキした。男の子の前で、彼に犯されて、男の子は私に触れることも許されずオナニーをし続け、何度も何度もボトボトと精子で床を汚し、無視され、彼はご主人様を演じている。
裸なのは私1人で、私達3人の中で男の子が最低順位だと思っていたのに、結局、順位が低いのは私だったようだ。そういう遊びを教えられ、犬が尻尾を振るように、喜んで参加している。
私は、自分の理性のボーダーラインを見せつけられた。恥こそがスケベである。彼が私の中に深く入って、奥の壁をグリグリと擦ってもらうと、体の底から快感がのっぼって来る。

喫煙室のドアのすぐわきにいたアジア人は、その男の子に似ている。ジーパンに、着心地のよさそうなジャケットを羽織っていて清潔感があった。

「火を借りることはできますか?」

たどたどしい英語で話しかけると、

「日本の人ですか?」

とマッチを差し出しながら、悠長な日本語で話した。マッチの箱の文字は読めない。

「そうですよ、あなたは?」

マッチで火を着けて、煙を深く吸い込む。火を借りられて助かった。ありがとうと言ってマッチを返す。

「僕はタイです」

タイ人と話すなんて初めてだった。男はタイ人と日本人のハーフで、去年までは日本に住んでいたそうだ。歳は私とそう変わらないみたいだ。
「何で日本人だとわかったの?」

誰かがドアから出ていくと、すぐに誰かが入ってくる。

「あなたの携帯電話、日本のものでしょ?」

私は香港空港に着いてから、すぐに携帯の電源を入れて、ずっと握りしめていた。

タイ人に似た男の子を加えたプレイは何回か続いて、いつも彼は、男の子が私に触れることを禁じていた。

ただ、1度だけ、男の子をスマタでイかせたことがあった。

立ったままで、男の子のチ●ポを私の太股で挟んだ。男の子は私を抱いて、激しく腰を動かして、すぐイってしまって、私は笑った。

太股に付いた男の子の精子をティッシュで拭いて、汚い物のように思えた。私が汚いのか、精子が汚いのか、曖昧になった。彼は、その様子を見ていて、男の子に、帰れ、と命じて、それが最後になった。

つづく…

※次回 ”たなびけば,” 第7話は、8/9(木)更新予定!

七瀬 小説

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