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作者:七瀬

プロフィール

・1977年7月生まれ
・職業:某デリヘル店に勤務

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Archive for 3月, 2011

パーティー(2)

3月 18th, 2011

嫁との出会いは大学を出て就職した会社のバドミントンのサークルだ。俺はどうしても家庭が欲しかった。社会人として早く認められたかったからかもしれないが、もう忘れた。ただ、彼女は、俺の条件にピッタリと合ってしまったのだ。愛情に溢れる家庭で育った女にだけが持つ安定感、それは、俺が懇願しても手に入らなかったもので、彼女を俺の手中に収めることで、安定感は俺のものになると思っていた。驚くことに、彼女の男性経験は1人しかなく、それを聞き出すのもかなりの時間を要した。俺に言ってしまえば、捨てられると思っていたらしい。現代で絶滅の危機にある貞操観念を持つ女だったのだ。バトミントンのコートで、形のいい尻に張り付く白いショートパンツから生えている彼女の力強い足が、いやらしかった。官能的ではなく、単にいやらしかったのだ。

20年前の夜のことは、今でも鮮明に思い出せる。
結婚を前提に付き合っていたが、俺は、彼女にセックスを求められなかった。純潔さを汚すことは、とんでもない大罪な気がしていたのだ。結婚式が1ヶ月先にせっまた時に、この女しかいないという思いと同時に、本当にこの女でいいのかという思いに苛(さいな)まれた。俺も若かったし、例えば、彼女のオマ○コが横に割れていたり、割礼の習慣があったりしたらマズイなと真剣に悩んでしまったのだ。それを解消するためにはセックスするしかなっかた。彼女に近場での1泊旅行の提案を持ちかけたとき
「ちょっと考えさせて」
と神妙な顔で言われ、答えを聞くまでの4日間、どこが「ちょっと」なんだよ、たかがオマ○コじゃないか、チ○ポを入れて射精に導くだけのおまえの道具はどれだけ高貴な代物なんだよ、と腹立たしく待っていたが、待っている時点で俺は彼女に屈服していた。
海沿いの旅館は、社会人になり立ての俺には痛い出費だったが、将来を確認する経費と考えれば安いものだと思うようにした。食事の味なんてわからなかった。酒が入り浴衣の彼女の胸元が緩んで、彼女の告白が始まっても、そればかりを見ていた。
「嫌いにならないでほしいんだけど」
彼女の首から浴衣に吸い込まれる胸元がピンクに色づいている。
「私、女として体がおかしいのかもしれない、男の人との、そういう、行為で感じたことがないの」
高揚している甘えた口調で話す。
「女の人は、快感を感じられるようになるまでに時間がかかると聞いたことがあるよ、たぶん君の体は、まだ感じられる状態にはなっていないんじゃないかな」
正座を崩した斜めに傾いた腰、裾がはだけて、筋肉質の脹脛(ふくらはぎ)と太腿の重なり具合は、女の秘部を連想させる。
「俺に任せておけよ、大丈夫だから」
何が大丈夫なのか、言った俺にもわからなかった。
肩を引き寄せると、彼女の方から顔を近づけてきた。俺たちは、接吻をした。キスではない。もっと生々しくて、彼女の薄い唇に俺は食い付き、歯の裏や歯茎、奥に逃げた舌の根本の方まで舐め回す。浴衣の上から胸をなぞり、袂(たもと)から手を入れると彼女は俺の手に手を添え、拒否する素振りをして見せた。淡い黄色のレースが完全には成熟していないような胸の膨らみを押さえるように包んでいる、残酷だ。指で乳輪から乳首の方へ円を描くように軽く刺激すると、それは控えめに主張し始める。彼女の息が大きく深くなり、感じない、なんて嘘だとわかった。
つづく

次回作は4月8日(金)掲載予定!

七瀬 小説