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作者:七瀬

プロフィール

・1977年7月生まれ
・職業:某デリヘル店に勤務

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パーティー(3)

4月 8th, 2011

確かに、男性経験は少ないのだろう。ゆっくりと浴衣の裾に手を入れ太腿からパンツのほうへ滑らせる。ブラジャーとセットのそれは、彼女の理想のセックスを彩るべく、頼りないレースをまとい、過去に1人の男しか見たことのない場所を隠す。

クリトリスがある周辺を、軽く触る。太腿が緩み、俺の手を、その小さな布の中に迎えることを許す。まるで抵抗の演技を諦めてしまったのを恥ずかしがるように、頬が赤い。彼女の小さく細い肩は始終不自然に力んで、漏れる声も快感からではなく、予測していないことが起きたときに出る「あっ」という感じだった。手のやり場にも困っているようで、それが可愛い。俺は次第に興奮し始めて、いや、本当は彼女の脹脛(ふくらはぎ)と太腿の重なりを見た時から、勃起していたんだ。女の経験も、今に比べれば、それほど多くもなかったし、チ○ポは健康的な肌色で艶があった。

小さな黄色い布を取り去る。陰毛は枯れたススキのように柔らかく直毛に近い。足を広げさせる。普通のオマ○コだ。横にも割れてないし、割礼もされていない。男性経験が1人というのは本当だろうか。ビラビラが肉厚の大陰唇から飛び出して、もうヒクヒクと蠢いている。

嫁は性欲に淡泊な女だったのだ。初めの頃は毎日していた営みも、半年がたつ頃には週に1回になり、1年がたつとほどんとなくなった。寂しい気持ちがなかったわけではないが、正直ほっとした。嫁に飽きた訳じゃないんだ。ただ、そのセックスは快楽のためではなく、生殖の意味合いが強かったし、1年目に見事妊娠したんだ。そして、その2年後にも妊娠した。今度は計画的に。「今日は排卵日だから、しましょう」なんて言われて、上の子供が眠ってしまったのを見計らって、嫁はテレビの前でパジャマのズボンだけ脱いで待っていて、 義務感から、チ○ポを立てた。家庭の中でのセックスはスケベからは遠くなってしまうんだ。寝起きの顔を毎日見てたら、嫁と初めてセックスしたあの海岸は幻のようにも思えた。

仕事は休みという休みなどなく忙しかったが、充実していて、家庭の中は温和な空気に包まれていたように思う。好景気という社会的な勢いにも押され、俺は成功した。風俗にもたくさん通ったし、浮気をしたり、表で恋愛みたいなことはしていたが、死ぬほど夢中になれるほどにのめり込める恋愛は2度とできないというか、しない気はしていた。うまく遊んでいるつもりでいたし、実際うまく遊んでいるはずだった。家庭にその存在を気づかれた事もないし、物事の優先順位はよく知っていたからだ。

俺の安定した生活は、この目の前の女によって壊されると、出会ってすぐにわかったのだ。人生の価値観を大きく揺るがすほどの出会いになるだろうという予感がしてしまった。出会ったその日にホテルに行った。部屋に入る時、足が震えた。

今、目の前にある尻は、その女のもので、白く大きい。黒いストッキングを破ったんだ。赤い下着はテラテラと俺を挑発している。この尻に顔を埋めるな、と言うのは無理な話だ。なんて、丸くて柔らかいのだろう。母なるオマ○コを大切に抱きしめているような尻が俺の視界を埋めているんだ。

「何をしているの?薬は塗れたの?」

小さな白く緑色のラインが入ったチューブはカウチの下に落ちてしまっている。

「早く塗ってよ、あなたが私のお尻を、ひどくしたんじゃない」

2つの山を分けるように走る紐みたいな布をずらすと、オマ○コが顔を出す。足よりも色素が濃いそこは毛の手入れがされているが、そり残しがある。卑猥だ。目眩がする。濡れ始めているじゃないか。俺がストッキングを破いてしまったからなのか。

「オマ○コを見ろなんて私は言ってないでしょう?」

オマ○コ、オマ○コ、オマ○コ、俺を征服してしまうそれは目の前にある。

「自分が傷つけたお尻に薬も塗らないなんて、大罪よ」

女は体をねじり、化繊で途切れ途切れに縛られた足で俺をまたいだ。上から見つめられると、目を合わせることが難しくなる。俺は大罪を犯している。女を家に招き、しかも、薬も塗ってない。カーテン越しの午後の日差に柔らかく照らされた女の顔はマリアを思わせる。ダヴィンチが描くマリアだ。力強く意志に溢れる。処女の象徴、聖なるマリア、俺を救うのか。

「目を閉じて」

女に言われるままに目を閉じる。

「私に任せておきなさい。大丈夫だから。」

つづく

次回作は4月22日(金)掲載予定!

七瀬 小説

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