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作者:七瀬

プロフィール

・1977年7月生まれ
・職業:某デリヘル店に勤務

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Archive for 10月, 2011

『ルームナンバー1044』 (5)

10月 1st, 2011

「先生」と呼ばれる仕事をして何年経つのだろう。何千人もの人に「先生」と呼ばれて、俺は「はい」と返事をした。昔、俺は「先生」ではなかった。毎日、毎日、誰かに「先生」と呼ばれ続けるうちに「先生」になってしまった。

彼女と体液まみれのグチュグチュのセックスをする時、その時だけ俺は解放される。相変わらず彼女は俺を「センセイ」と呼ぶが、彼女が言うその言葉は、「先生」という職業から遠く離れた言葉だ。
彼女を椅子に赤く縛っている縄を解き、3人掛けのカウチにケツを俺に向ける角度で固定しなおす。縛りとは愛撫だ。縄に縛られながら、俺に抱きしめられている。赤い縄が何本も彼女の体を横切り、自由を放棄し、アイマスクの上からでもわかる恍惚の表情、白い肌が色づき、「センセイ」と俺を呼んで、ヴァギナをベチョベチョにしているのに放置されなければ、己の中心にまで立ち入ることのできない女。

素手で彼女の白い大きなケツを叩くと、俺の手に平の形にピンクに跡が付く。

パンッ。

「1つ。センセイ、ありがとう…」

パンッ。

「2つ。センセイ、ありがとう…」

パンッ。

「3つ。センセイ、ありがとう…」

叩かれながら彼女の何重もの鎧は外され、本当の彼女が顔を出す。よく知っている女が俺によって変化する様子を見るのは、間違いなく、快楽だ。

パンッ。

「4つ。センセイ、ありがとう…」
白い桃は俺によって満遍なくピンクになって行く。中心の羞恥帯には触れないように注意深く色を着ける。

パンッ。

「5つ。センセイ、ありがとう…」

彼女は鼻にかかったような甘い声で、太股まで愛液を垂らしながら、必死に耐える。

彼女の声が泣き声になった頃、電マを彼女のクリトリスに固定した。一瞬、彼女の体が硬直して、それから、腰を中心に陸に上げられた魚のようにビクビクと跳ねる。

「わかっているね。いってはいけない。俺はいく事を許していないからだ。」
俺のチ○ポはどうしようもないぐらいにエレクトしていて、ヌルヌルになって、一刻も早くぶち込みたかったが、俺は知っている。彼女を支配すること、いや、本当の意味での支配はできない。彼女は自立した大人だから、俺の思い通りにしようなんて考えは驕りだ。だからこそ、彼女をこの時、俺が「先生」から解放されるこの時、彼女も自身を覆わなければならない日常から自由にする事、俺が唯一持っている、彼女に対しての影響力。快楽のピークはやって来るモノではない。自分で、自分の意思で演出するモノだ。

息を逃して絶頂を逃している彼女は、出産している妊婦のようだ。痛みから逃れること、快感の絶頂から逃れること、神経に電気信号が走り脳がドーパミンを放出する、そういう意味では全く同じなのかもしれない。

「センセイ…センセイ…ごめんなさい…」

涙声で訴え、魚のように跳ねながら、太陽の光溢れるこの白い部屋で、彼女はもうすぐいってしまうだろう。

「ごめんなさい、センセイ、イク、もう、あ、だめ…くっくぅぅん…」
縛られた体、腹の方から波打つ痙攣、硬直、そして彼女は時間が止まってしまったみたいに動かなくなった。

つづく

七瀬 小説