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作者:七瀬

プロフィール

・1977年7月生まれ
・職業:某デリヘル店に勤務

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Archive for 2月, 2011

高級ホテル最上階

2月 24th, 2011

四角く切り取られた夜景、黒い視界。空港の灯りが夜をくすませ、オレンジ色に濁る。部屋の中が明るく、窓は鏡のように、この部屋を写す。窓の外を見ている振りをしている私。黒い携帯を開け、何かをチェックしている男。メールか、着信か。レベルの高いスーツは、誰が見てもわかるほどだ。ジャケットを脱いで、ネクタイを緩め、携帯をパタンと音を立てて閉じた。

チャイムが鳴り、部屋に料理のワゴンが運ばれてきた。2つに折った千円札。チップを慣れた手付きで渡す男が、憎たらしい。

出張に行く前泊に、私を呼ぶなんて、軽く見られている気がする。出張のついでに私と会うなんて、バカにしている。私と会うついでに出張に行けばいいのに。家庭に帰った男はいつも、私がメールしても返信をくれない。電話は禁止されている。女を外に作るリスクを背負わない、それだけでも、嫌いになる理由には充分なのに、決して嫌いにはなれなかった。

「さあ、食べようか」

サーモンのラップを外しながら、男は言い、私と視線が会うと、完璧と言わざるをえない笑顔で微笑んだ。

部屋の明かりを落とし気味にし、ワゴンを窓の近くのテーブルに寄せ、シャンパンを抜く。グラスに注ぐと部屋に甘い香りが漂う。

「君は知っているかな。いい酒はさ、どんな時でも美味しいんだよ。いい?どんな時でもだよ。体中からアルコールとゲロの臭いをプンプンさせているヒドイ二日酔いの時も、消えてなくなりたいくらいに傷付いた時もね。どんな時でも美味しいのが、いい酒の条件なんだよ」

男は、私の横で、エリート独特のソフトな口調と弦楽器のような声で、話し続ける。私は、男の声と言葉に、撫でられ、擦られ、慈しまれ、愛撫されている。

上半身を捻り、男の顔ギリギリまで近づく。吐息でキスをするように、男の唇を見つめてから、右手の人差し指でなぞり、その口をゆっくりと探る。閉ざされた歯の隙間に指をねじ入れ、舌のウニみたいな感触を味わってから、目を開けたまま唇を重ね、舌をニュルっと差し込んだ。

舌を入れたまま座った男の膝を跨ぐ形で上に乗ると、男が両腕を私の背中に回し、息ができないほど、きつく抱いた。Dカップの胸が圧迫される。

顔中、涎(よだれ)だらけだ。男は目を閉じている。唾をすする。足の間に、男の固い物が当たり、舌が絡みあい、ネチャネチャとした水分を多く含む音が、今から始まる淫靡(いんび)な出来事を予感させた。

男は、もう我慢できない、と言うように、私のブラウスを力強くたくしあげ、その拍子で赤いブラジャーから胸がこぼれ、自分もネクタイを外そうとしていたが、私は、声のトーンを落とし気味に言った。

「ねぇ、そのままだと、きっと、皺になっちゃう、ちゃんと脱いで、クロゼットに仕舞うの、わかった?」

明日は出国してしまう。胸がはだけたまま、私は立ち上がり、憎しみを込めて、男のネクタイを引き、広すぎる部屋を歩き、やはり広すぎるであろうクロゼットのドアを焦りながら開け、私が下になり、男に支えられながら、中へ倒れ込んだ。

ネクタイを強く引き寄せ、涎だらけの頬に唇を押し付けてから言った。

「社会の犬のくせに!」

男は、カチャカチャと自分でベルトを外し、ズボンとパンツを脱ぎ捨て、私のスカートの中をまさぐり、柔らかくなったり固くなったりする舌と舌を絡ませ、オマ○コの濡れ具合、そこがジュクジュクになっていることを確かめると、パンツの横から一気にチ○ポを突き立て、その瞬間、背骨を通って一瞬にして快感が全身に行き渡り、大きなカリが膣壁を刺激し、オマ○コの入口に引っ掛かって、また奥まで刺され、子宮をグリグリ揺さぶって、男の息づかいを抱き合う肩で感じる。クロゼットの床、立て掛けられたアイロン台、何着かの白いローブ、何本もの黒いハンガー、イっちゃいそう…言いたいのに声にならず、オマ○コの中が煮えて沸騰しそうで、目を閉じて、その時、私の、意識は、弾け、チ○ポに刺されたまま、水の入ったコップを倒したみたいに、熱いものがオマ○コから溢れ、履いたままのパンツと、クロゼットの絨毯が、透明な液体で汚れた。

膝に力が入らなかったが、息が荒いままま男に支えられ、カウチに戻り、四角い景色を眺める。男は、シャツとネクタイと靴下だけ身に付け、私のスカートをずり上げて、大きく開いた足の間に、四つん這いで顔を埋める。お尻を高く上げて、この街に視漢されるように。

テーブルの上のグラスに、瓶に残っているシャンパンを注ぎ、1口飲んだ。あと、10時間もたてば、この男は日本にいない。帰国までの間、メールをしたら返信してくれるのだろうか。

男が一心不乱に舐めているオマ○コ。飲みかけのグラスを傾け、お腹からオマ○コに、残ったシャンパンを流す。出張のついでなんて、あまりにも酷いよ。酷い。肉厚のビラビラの所で、社会の犬が愛液と混ざったシャンパンをズルズルと飲む。

「おいしい?」

七瀬 小説